芸術・芸能

2017年7月15日 (土)

七月の落語

2017_7_15マンネリ化を恐れてここ半年ばかりは一か月に一度にした落語鑑賞、それでも選択しかねて二度になることもあります。結局好きなんでしょうね。

今月はご贔屓の一人、柳家権太楼、暑い中を(14:00開演なので)出かけてきました。友人の中には夜の開演を嫌がる人もいますが、私は夕食などのすべての支度を終えて気分を軽くして出かける方が本当は好きなのですが、演者の都合もあるでしょうからしかたありません。

予定では「らくだ」と「黄金の大黒」の二席の予定だったようですが、ただいま練習中で来年早々の完成を目指している「薮入り」をやってみたいということで三席になりました。ほぼ八分どうりの出来になっているのではと思いながら聴いていたのですが、あとちょっとのエッセンスが足りないかな、と言う印象。なんども試行錯誤を重ねて行くうちに落語も完成度を増していくものだからネタおろしとしては上々でしょうね。

いつもの定席「きの11番」、演者からはおそらく丸見えの席、暑さと忙しさの疲労が出てついつい熱演中の「らくだ」で居眠りが出ました。師匠の出来が悪かったのではありません。すごい熱演だな、と思いつつどうしても目が開けられなかった私の身体の方が悪かったのです。ごめんなさい!


今日のきものは:

暑い日でしたが、気を引き締めてきもので出かけました。着てしまえばこちらのもの、それほどではありません。

Photo歌舞伎見物の翌日にも着たので、今期二度目の明石縮。柔らかい雰囲気の着物で私好みです。絹ですが、麻の着物のように涼しい。

きもの:明石縮

帯:櫛織り 櫛織りは本来は単衣のものですが、目が粗く透け感があるので、薄物に合わせています。帯芯を同色の紺にすると雰囲気が変わって本来の単衣向きになると思います。この着物に合う帯がないので当分はこのまま真夏仕様で。

帯締め:蘭菊(平田組紐)

2017年7月10日 (月)

七月大歌舞伎 夜の部

2017_7_10_4大阪と名古屋の友人と半年前に約束して、チケットを取っておいた七月大歌舞伎。六月の発売日にはまだ麻央さんが存命でこんなに大騒ぎになると思っていなかったのが、海老蔵さん長男のかんかんちゃんがママの麻央さんが亡くなったのにもめげず史上最年少で宙乗りをするというニュースで即、チケットは完売になり、歌舞伎座は大盛況。いつもより若い世代がめだちました。

正直若いころの海老蔵さんは余り好きではありませんでした。ご自分でも「以前は他人のことなど考えたことがなかった・・」とおっしゃっていましたが、麻央さんと結婚されてからは人が変わったように人間として役者としての幅が広がり、演技にも幅が出てきたように感じていました。私と同病の麻央さんのブログを今年になってから時々拝見していましたので、亡くなった後は海老蔵さんのブログを拝見して彼の激しい喪失感や幼いお子様二人がけなげに母親の不在に耐えている様子をつぶさに見てきました。最愛の人をもう身近に見られないあの喪失感ほど辛いものはありません。悲しさと言う言葉では言い表せないもっともっと大きなもの・・毎朝襲い来るあの何とも言えない心の不安、喪失感を克服するのにはおそらくまだまだ長い年月が必要でしょう。

舞台はやはり素晴らしいものでした。かわいらしいかんかんをご自分の傍らに引きよせたときの優しい慈愛に満ちた父親のまなざしは決して彼が若いころには見せたことのないものでした。

型を決める荒事は良いけれど人情の機微を表現しないといけない世話ものはまだまだ、と言われていた市川海老蔵も麻央さんによって一皮も二皮も剥けた役者に成長したと思います。

天国の麻央さん、成田屋の女将としての役割をあなたは十分に成し遂げられましたよ。やはり、人生で一番大切な物は本物の愛ですね。

友人二人も「本当に感激した、上京してよかった」といって満足して帰って行きました。

今日のきものは:

Photoすっきりとした仙人草の模様と地色の青紫が大好きな絽の付下げ。友人たちに「涼し気に着ているわね」とほめていただきました。

加賀友禅と京友禅の両方を学ばれた吉田喜八郎さんの作品です。したがって金銀は使われておりません。

帯は絽綴れ 細見華岳さんの作品です。

帯締め:大小杉(平田組紐)

2017年6月17日 (土)

しゃきっとするには着物に限る

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しばらく精神的にも色々あって身体に影響したのでしょう、季節の変わり目という悪条件も重なってどうも体調が悪い、半年ぶりの名人会だというのに身体がしんどくて出かけるのもおっくう、そんな自分の精神力の弱さと身体に鞭うって半年ぶりに朝日名人会に出かけてきました。

少し風のある良いお天気でした。家の外にでることはいろんな意味で良いことですね。だんだん心も晴れやかになってきました。

名人会も170回とか、相変わらず満員の盛況です。初めて聴きにきたのは確か99回くらいだったはず。月日の経つのは本当に早い。

2017_6_17_004こちらにくると独演会と違って4から5人の噺家の落語を聴くことができます。落語を聴き初めて10年以上毎月通い詰めていますから、そろそろマンネリ化も実は感じ始めています。老後の趣味のひとつとしてこれからも付きあっていくためには新しいご贔屓を開拓しておくのも大事。ということで毎回新ご贔屓探しを兼ねてもいます。左の演目表の中で聴いたことのあるのは「宿屋の富」だけという楽しみな取り合わせ、おまけにさん喬師匠と、市馬師匠以外はお初にお目にかかる方ばかり。お二人の名演はいつものことですが、後の三人さんも凄かった。特に馬石師匠、志ん輔師匠は余りの熱演で顔が真っ赤。脳出血でお倒れになるんじゃないか、と心配になったほど・・身体に鞭うって出かけてきた甲斐がありました。

また少し涼しくなったら聴きに伺いましょう!

今日の着物は:

Photo着物は本塩沢、蚊がすり模様です。帯はめだか模様の絽の染帯。涼しげですが実は芯が入っていて真夏は暑くて締められない。今月限りの出番になります。

本塩沢:林宗平工房 変わり絽の染帯:渋柿庵

2017年5月10日 (水)

よこはま文菊開花亭

十年以上落語鑑賞に通っているとどうしてもおなじみの噺家に偏り、少々マンネリ化してきます。丁度今がその時期のようなので、どうも新鮮味に欠け熱が入らなくなっていました。それでも老後の趣味のひとつとしてこれからも楽しんでいきたい、そろそろちょっと冒険もしてみよう、そんな気持ちで新しいご贔屓の開拓にかかりました。

Photoちょっと前から気になっていた落語家、古今亭文菊さん、一見真面目そうないかにも王道をいきそうな落語家、今月はこの方を初めて聴いてみることにしました。記憶が間違っていなければ一之輔さんと同じ世代、二十八人抜きで真打ちになった逸材。芸風はお見かけしただけでもおそらく真逆。

今回は横浜での記念すべき20回ということで、大ネタ「宿屋の富」に「らくだ」です。歩く姿から少し女性っぽい芸風かと思いきやとんでもない、とにかく人物の描き分けがうまい、「らくだ」のどすのきいた話しっぷりは見かけとは大違いです。私はこの噺自体余り好きではないのですが、文菊さんの「らくだ」はすごかった。今までにない芸風ですっかりファンになりました。「宿屋の富」も聴かせましたよ。本物ですね。これからが楽しみです。

今日は持病の定期検診日、家に帰ったのが三時半。それからちゃちゃっと夕食の支度をして、着物に着かえてのおでかけでした。連日の外出続きでさすがに疲れ、前座、二つ目の時はちょっとおねむになりました。

今日のきものは:

Photo母のお下がりの泥藍大島、何時まで経っても地味ですね。それでも今の時期は白大島同様、一番涼しく着られる着物です。

帯:白汚しの陶絵写しの掬いの帯(帯の岩田 まこと織物)

2017年4月25日 (火)

オペラ座の怪人

Photo娘と孫に誘われて3月末から横浜公演が行われている劇団四季の「オペラ座の怪人」を観てきました。
四季の公演を観るのはなんと学生時代以来ですから、何十年振りになりますか・・

会場で本日の出演者を見ても知らない俳優さんばかり、テレビなどでの露出の多い俳優さんは皆無、舞台俳優さんの分野では著名な方もいらっしゃるのでしょうが、正直メジャー感のあるかたはいらっしゃいません。それでもチケットはなかなか良い席がゲットできないほど人気があるのですから、人気に頼らない実力のある俳優さんがそろっているということでしょう。

オペラ座の怪人というと実母と義母が同世代なのですが、「若いころ見たオペラ座の怪人という映画よかったわね」と話が盛り上がっていたのを思い出します。

ファントムという怪人が主人公なので、奇想天外なところもありますが、舞台は迫力があり、エンターテイメントとしての仕上がりは素晴らしく四季の俳優さんたちの実力には感心しました。音楽性も基礎をしっかりと勉強した俳優さんばかりなので完成度もかなりのものです。ピアノをやっていて音には敏感な孫のAちゃん、「ちょっと意地悪な歌手の役の女の人、2オクターブプラスド・レ・ミまで声が出ていたよ」とびっくりしていました。機会があったらもう一度観てみたいそうです。

今日の着物は:

Photo_2今回初めて着用の小倉貞右さんの祭り模様の付下げ、日本の祭りをテーマに作られた作品。三社祭のひとつ山王日枝神社のお祭りを描いたものらしいです。地色は茶系をベースにピンクを合せた大人の色です。

この日は見渡したところ、1000人以上の観客で、着物は私一人(?)のよう、ちょっと淋しい気がしましたが、これからもめげずに着物で参加します。

着物:小倉貞右(東京手描き友禅作家)

帯:白地しゃれ袋(帯の岩田)

翌、26日も着物で横浜へ、さすがに連日の外出は疲れます。家事がなければ楽でしょうが、まだまだ当分は現役続行のようです。

Photo_3ぐっとカジュアルに牛首紬にこでまりの染帯で。やはり紬系は楽にきられますね。牛首紬の先染めはものすごく品薄になっていて、このように多色使いの縞模様は皆無だそうです。だんだん手仕事は貴重品になっていきますね。

2017年4月 8日 (土)

恋ふたつ - 柳家さん喬独演会

2017_4いい年なのに(いい年過ぎるほどいい年ですが)恋の話が大好きな私、特に忍ぶ恋は身につまされる。なのでさん喬師匠の恋話は必ず聴きにいきます。本当はしばらくぶりにその中でも大好きな「たちきり」を目を真っ赤にしながら聴きたいのですが、今回の~恋ふたつ~は「お節徳三郎」と「お若伊之助」二題。がこの二つの演目では「お若伊之助」はちょっと苦手な恋話、だって相手が狸だったなんてそれも深い間柄になった相手が狸が恋人に化けていたなんて落ちは正直生理的に受け付けません。

がそこは恋話がお得意のさん喬師匠、嫌みなく綺麗にまとめてくださいました。いつかまだ聴いたことのない「宮戸川」の通しなどをさん喬師匠で聴いてみたいなと思います。

今日の着物は:

Photo_34月に入ると桜の帯はいつもは締めませんが今年はなんだか桜に心ひかれ、名残の桜として山桜の帯を再び締めてみました。これで今年の桜の帯は締め納めです。

着物:塩沢紬

帯:夜桜の染帯

2017年3月11日 (土)

柳家権太楼独演会 仇討三昧

3相変わらずの満員の盛況、が年齢層は高くとりわけおじい様の姿が目立つ独演会。師匠の良さが分かるのは世間の憂さも喜びも知った層かもしれません。

今年一月にめでたく古希を迎えたという師匠、年のことも考えないでにぎわい座から何をやっていただけますか、との問い合わせに、その場のノリで「宿屋の仇討と花見の仇討」なんて答えて後で後悔、二つとも凄く体力のいる演目なんですよね。このうちの一つを演じたら後は「短命」とか「不動坊」とか、少し体力的に楽な演目にしないと・・などといいながらなんのなんの、熱演の二演目でした。今年の春は個人的には心の沈む春なのですが、久しぶりに大笑いしていっときの至福の時を過ごすことができました。落語はいいですね、老後の趣味に落語を選んで本当によかったと思っています。

柳家ほたるさんの「時そば」、なかなかよかったのですが、私にはどうもそばをすする音が気になりました。なんだか汚い感じがしておいしく感じられないのですが、みなさんはどうおもわれたのでしょう。

きょうの着物は:桜の帯第二弾です。千鳥が淵の桜を描いた帯、風景を描いた帯は本来は苦手なのですが、超、超お得に手に入ったので初めて締めてみました。

Photo

Photo_2きもの:ジュサブローデザインの小紋 母のお下がり

帯:千鳥が淵の桜  高木空木 画 (千切屋)

写真で見ると土手を表した墨色の部分が気になりますが、実際はうまく溶け込んでいます

2017年2月 8日 (水)

一朝・一之輔親子会

201702082112232月のにぎわい座は一之輔の真打ち昇進お披露目の会以来の一朝、一之輔親子会へ。前日7日に市馬さんの山崎屋があったのでどちらにしようかと迷った挙句の選択。市馬さんの山崎屋も聴いてみたいけれど二日連続のにぎわい座通いはちょっと無理。つい最近までは月に三度も平気で通ったのに、体力がやっぱり減退したのでしょうね、他の用事をこなしての連日はもうできません。

一朝師匠の高座はこれで二度目ですが、前回の高座の印象がよかったので、もうすでに定評のある一之輔さんとのコラボならば間違いはないだろう、と踏んだのですが正解でした。一朝師匠の落語は正統派江戸前、弟子の一之輔とはまったく違う芸風、これが噺に変化をもたせ盛り上がったようです。

一之輔の「新聞記事」、新聞が新鮮だったころのお噺、「粗忽の釘」、これは一之輔風にアレンジされていて面白かった。それにしてもちょっと聴かない間に一之輔落語は進化しましたねえ、初めて聴いたときはかなり灰汁が強い落語だなと思ったのですが、近頃はそれがくせになりそうな、独特の雰囲気のある落語になっています。

満員の熱気のある落語の会でした。

今日のきものは:

Photoなんだかんだといっても今が一番寒い季節、こんな時期には信州紬が重宝します、 落語の会と言うので気楽な装いの紬と紬八寸名古屋帯で、

きもの:飯田紬 典型的な飯田格子の紬、とても暖かいです

帯:ちょっと派手目ですが、紬にはぴったりで締めてみると違和感をかんじません、縞の紬八寸名古屋です

2017年1月17日 (火)

壽新春大歌舞伎-市川右團次・右近襲名披露公演 夜の部

2017_1_17_005特別割引券を頂いて超お得に手に入れたチケットで友人と三人で新橋演舞場へ出かけてきました。割引券ではもったいないような良いお席。10番の34、35、36という一等席です。

夜の部は:1.源平布引の滝 義賢最期

       2.襲名披露口上

       3.錣引

       4.黒塚

の4つ。この中で特に印象に残ったのは、1.の義賢最期の海老蔵の熱演と4.の黒塚での猿之助の名演と三味線の素晴らしさ。海老蔵ははっきり言って今まで見た舞台で感動したことはありませんでしたが、色々御苦労なさったことが芸の肥やしになっているのでしょう、素晴らしい舞台になっていました。和事の甘い二枚目よりも荒事の荒々しい男ぶりの方がこの方には向いているのだろうと思いました。今置かれている苦境を乗り越えた時きっともっともっと芸道も高みへ登っているのだろうな、と感じた次第です。

黒塚は猿之助ファンとして期待の舞台。能の動きを取り入れた、そしてお得意のケレン味も十分に取り入れた深みのある舞台になっていました。舞台装置も見事で、引き込まれて拝見していたので、終わったとたんどっと疲れがでたほど。もちろん、今回の舞台の主役の右團次さんも随所で存在感を見せ、さすがと思わせるものがありました。余裕があれば昼の部も拝見したかったですね。そうそうかわいい右近ちゃん、口上のしっかりしたご挨拶から察するに大変おりこうさんのようで、可愛くて応援したくなったのは私だけではないでしょう。

今日のきものは:

まだまだお正月なので、三人とも晴れの衣裳で。

私はお手入れに出してから二年ほど箪笥に眠っていた無線友禅を着てみました。付下げとしては娘に譲ったピンクの付下げの次に作った二枚目。おそらく15年は経っていると思いますが、落ちついた色合いなので、まだまだ当分着られそうです。

Photoきもの:ブルーグレー地の無線友禅(矢代仁)

帯:若松文の袋帯(帯の岩田)

帯締め:貝の口浮舟(平田竹峯作)

2017年1月12日 (木)

初落語は柳家三三

20170112211323ここのところお出かけが続く予定で体調をコントロールしないとまずいな、と思うのですが、やらなければならないことが減るわけではなく、心意気で頑張るしかないようです。といっても楽しい行事が続きます。まずその第一弾が7日の平田竹峯さんの実演会、そして今日は今年の初落語、柳家三三の独演会です。いつも一緒に落語を楽しみ、蘊蓄を語ってもらっていた隣席の相方が来られなくなり、当分は淋しい一人鑑賞ですが、落語の楽しみが減るわけではなく、いつもの定席をゲットして三三落語を楽しんできました。三三の独演会は前座はなく、正真正銘の独演、中入り前に二題、中入り後に一題という構成です。

前座ものの金明竹、省略なしのしっかりした構成で、早口言葉もよどみなくさすが、と言う出来、その後の夢金小言幸兵衛は私の大好きな噺。この二題では後者のほうがよかったかな、夢金はもうちょっと冬の雪の寒さと殺伐とした雰囲気が感じられるともっと良かった気がします。

最初の枕で「さすがお正月、着物姿の方も今日は多いですね」ときましたが、いやいや実は全部でやっと十人くらい、演者の丁度真正面あたりに私がデンと着物で座っているので、舞台から見ると目立ったのでしょう、そのきもののご当人、夢金の中盤ではこらえきれずにうとうと・・、ばればれでしたね。もしかしたらそのあたり、ちょっと中だるみなのかもしれませんよ、三三師匠!次回は寝ないでしっかり聴きます。

今日のきものは:

Photoちょっと冒険のつもりで買った琉球紬、近頃は友人に「このきもの、とてもよく似合うわね、藍の色がとても素敵」と言われるようになりました。確かに人間と着物がしっくりと近頃はなじんできたような気がします。この着物に合わせて織っていただいた掬い名古屋帯。さすがによくマッチしています。

着物:琉球紬(大城哲作)

帯:ワイン地掬い名古屋帯(帯の岩田ーまこと織物)

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