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2012年9月23日 (日)

母のいない世界

母が亡くなってもう18日が経ちました。もうこの世のどこを探しても母はいないのです。

その前、8月26日に義母が亡くなり、10日で二人を鬼籍に送ったことになります。暑さまっさかりの8月26日に16年2カ月の長きの間ホームで介護生活を送り、枯れるように旅立った義母、余りに長い介護生活だったため、悲しさ、寂しさというより、やりきったという気持ちの方が大きく、報いはありませんでした。

そして、7月26日から病院に入院していた実母の見舞いに通った日々、義母のことと重なっていたため、疲れ果てていたころ、やっと退院のお許しが出て6月29日に入所したばかりのホームへ8月28日に帰ったのですが、たった一週間で逝ってしまいました。今から思えば、母の生きる力は7月に発病したときに終わっていたようです。一か月生きながらえたのは現代医療を駆使して身体にいっときの力を与えていただけだったと思います。元気なころに「スパゲッティ状態はごめん」と尊厳死協会に入会していた母のこと、逝く前に病院ではなく終の棲家ときめた場所で、私たち姉妹や孫、ひ孫と最後のお別れが十分できたことを喜んでくれていたと思います。

「おばあちゃんはおしゃれだから、入院していて顔もきれいに拭いていないことが気になっているだろうね」と娘が持参した化粧水をコットンにつけて母の顔を優しくマッサージしてあげました。するともうすぐ逝く人とは思えないぷりぷりのお肌によみがえり、皆をびっくりさせました。「あっ、ひいばあちゃん、涙ながしてるよ」孫娘の声に母の顔をみると目からスーッと涙がこぼれ出ていました。そして「産んでくれてありがとうね、いいお母さんだったよ」、妹も「おしゃれで素敵な人だったね、産んでくれてありがとう」と最後に絶対に伝えてあげたいと思っていたことも伝えてあげることができました。

母は生前、“彼岸旅立ちの衣裳”として白絹で縫った衣裳を私に託していましたのでそれを着せていただきましたが、これは死に行く人への遺された者のロマンと言ってよいのでしょうか、あちらに行ったときに下着ではおしゃれな母がさみしがると思い、晩年、気に入っていたコーディネイトの風通御召のきものに姉妹で喜寿のお祝いにプレゼントした紫式部模様の塩瀬の帯、帯締め帯揚げ、そして足袋をお棺に入れてあげました。そしてたくさんのたくさんの花に埋もれるようにして旅立って行きました。

またきっといつか会いましょうね、お母さん・・あちらでもおしゃれで素敵な人でいてください。  合掌

辛いことばかりの9月でしたが、着物を着る機会が二度ほどありました。

Photo単衣の白鷹御召にワイン地の掬い名古屋帯、暑い日でしたが、着てしまうとそれほどには感じません。要するに帯を締めるときに少し力を入れるので余計に暑くかんじるのでしょうね。

Photo_2藍地の本塩沢に母から譲り受けた白に細い縞のある単衣名古屋帯です。もう母の形見の帯と言わなくてはならなくなりました。さみしいことです。まだ忙しさにまぎれているのですが、心ある人は「母親がいなくなった時は父親とは違ったさみしさが後から出てくるのよ、身体、大事にしてください」と気にかけてくださいます。お悔やみの言葉ひとつにも人柄がでるものだとつくづく思う今日この頃です。

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コメント

アイビーさん、ありがとうございます。認知症を患っていたとはいえ、実母の他界は堪えます。
亡くなったとたんに昔の元気でおしゃれで向上心の強かった母のことしか思い出せなくなるから
不思議です。近年、実父を亡くされたアイビーさんにはこの気持ち、よくわかっていただけるのでは
ないかと思います。こんなときはお心遣いがとりわけ身にしみます。

ところでおからだの調子がお悪いとブログにありましたが、いかがでしょうか。
お元気になられてまた素敵な着物姿をブログで拝見したいものです。

まあまさん、ご無沙汰しておりました。

久しぶりに訪問させていただいたら、お母様がお亡くなりになったとのこと・・・。
ご愁傷様です・・・。
どうぞ、お力落としのございませんように・・・。

化粧水でのマッサージのくだり、涙が止まりませんでした。
きっとお喜びになられたことでしょうね。

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